前回のおさらい
前回は、wishや、as ifを使った文について紹介しました。wishの代わりに、hopeが使えるのでは?という可能性について、wishとhopeの「願い」の意が根底では違うため、代替は出来ないということを解説しました。
というのも、hopeの「願い」は、叶うことをある程度、「期待」ができるもの、一方、wishの「願い」は、叶うことが限りなくほぼないものという住み分けがあるのでしたね。
さて、前回までは、そのように、ifを利用した仮定法について解説しましたが、今回は、ifを使わない仮定法についても解説していきたいと思います!
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◇ifを使わない仮定法
仮定法には、冒頭にも述べた通り、仮定の代名詞的存在のif(もし~なら)が付かないタイプのものが存在します。
では、それはどのような形で表されるのでしょうか。
早速、例文とともに見ていきます。
例1)Were it not for the volunteers,the program would not be able to exist.
「ボランティアがいなければ、このプログラムは存在できないだろう。」
形としては、V(動詞)+S(主語)~,S(主語)+could/would+V(動詞)~.で表され、日本語訳では「もし~がV(動詞)ならば、S(主語)は、~V(動詞)だろう。」といった形になります。
例1の場合は、動詞と主語の後にnotが続いているので、「もし~がなければ、Sはできないだろう。」と不可能の意になっていますね。
ちなみにこのifのない文での特徴は見てもらえばわかるように、カンマの前の文章は、動詞が主語の前に置かれることで、ifの代替を成しているという点です。
ちなみにこれをifのある仮定法に書き直す場合は例2のようになります。
例2)If it were not for the volunteers,the program would not be able to exist.
「ボランティアがいなければ、このプログラムは存在できないだろう。」
例2と見比べてみると、日本語訳は変わらず、変更点としては、ifがなくなり動詞が主語の前に出て文章が短くなったという形がこのifを使わない文になります。
◇ifのない仮定法とifのある仮定法の違いとは…?
では他にこのifを使った仮定法とifを使わない仮定法に違いはあるのでしょうか…?
先に結論を言ってしまうと、基本的には使い分ける必要がある場面はありません。
そうすると、
「え?じゃあ何で、ifを使わない文章だけを教えてくれなかったの?」
と思うかもしれません。
現にこれは私も高校時代、この単元を学んだときに感じたことでした。
しかしこれにはちゃんと意味があったのです。
というのも、そもそも仮定法とは本来、倒置で表される文法だったからです。
そもそも倒置は祈願文に由来されるものであり、その名残が「倒置」という形で残り、それがいつしかifをもって表されるという形になったので、仮定法は、ifのない文章が元の形ということになります。
それでもifを使う文章も教養の範囲として学ぶことになっているのは、その古い形と新しい形両方を留めることになったためということになります。
イメージ的には、ifを使わない文章は、古典で、ifを使う文章が現代文みたいな感じです。
日本語にも「を」とかが残っているように、英語にもそのような名残が残っているというわけですね。
◇not以外にもある?仮定法で否定の意を持つ文法
先ほどの例文ではあまり触れずに流してしまいましたが、仮定法で否定の意を表現するときには主語→動詞→notといった形以外に、without「~がなければ」といった意などを持つ「事実ではない」過去の動作を表す否定語というものを使用するケースもあります。
中でもよく使う否定語をここでは紹介します。
例3)Without your help, I would have failed the exam. 「あなたの助けがなかったら、試験に失敗していただろう。」
まずは、Without+名詞,SV~のパターン。
これは(名詞)がなければ、私は~できなかっただろうにといった形で用いられます。
この否定語を用いるときの特徴としては、カンマの前でWithoutを用いて、否定の意を述べた後にカンマの後ろでも否定の意を用いています。
つまり否定+否定の形です。
ここで注意したいのは、二重否定と混同しないようにしたいという点です。
二重否定は、否定語+否定語で構成されるものですが、カンマを隔てているこの例文は二重否定という形には類しませんので間違って覚えないようにしましょう。
ちなみに、Without 名詞~.=But for 名詞~という形に言い直すことも出来ます。
例4)I'm busy tomorrow; otherwise I would go to the movies with you. 「私は明日忙しい。そうでなければ、私はあなたと一緒に映画に行くのに。」
次によく使われるのはSV~;otherwise SV~のパターン。
この文の特徴は、otherwiseに続く文章は、前の文章とは状況が全く異なる文章が続きます。
私は明日忙しい。→私はあなたと一緒に映画に行けたのに。
仕事→遊び
このように、表と裏の関係を表したのがこの文法の特徴となります。
◇本日の総括
では本日のまとめになります。
- ifのない仮定法では、動詞を主語の前に置くことによって、ifの代替を果たしている。
- 仮定法でifが使われない文が存在するのは、「倒置」によって表されていた過去の仮定法の名残。
- withoutを使った仮定法では、否定の文に否定が続き、otherwiseの文では、表裏の文が一文で用いられる。
以上の3点になります。
さて今回でこの仮定法シリーズは終了となります。
いくつかの文法項目を飛ばして、重要な文法項目だけを抽出して紹介してみたのですが、いかがでしたでしょうか…?
仮定法で大事なのは、仮定という「あり得ない状態」を文章に表したものなので、ちょっと文章がおかしいなと感じたら、仮定法と疑って問題に取り組んでみるのもいいかもしれませんね。
-END-
◇あとがき
今回をもって大学受験勉強編(英語)のシリーズは終了になります。
所々、記事の解説の都合上省いたところや解説で不安な面が多かったのですが当シリーズはいかがでしたでしょうか?
Twitterでもちょくちょく英語の解説は分かりやすいという声を頂いており、何気に当サイトの中でも記事執筆面で一番気合を入れて書かせていただきました…!
ちなみにシリーズ冒頭にも述べたと思うのですが、サイト名が目指せ合格!!必勝!受験勉強となっていますが、どちらかというと英語の勉強をこれから始めるにあたっての入門者用に記事を書かせていただいておりますので、受験勉強対策をされる方は、こちらと合わせて別途自主学習の方を進めて頂ければと思います。
少しでも読者様の勉強のお役に立てれば幸いです!
さて、次回からは通常通り、別シリーズを更新していきます。
ちなみに次回は、受験シーズンも佳境ということで、意外にあまり知らない面も多い?奨学金制度について解説していきます。
それでは引き続き当サイトをよろしくお願いいたします。